【ココアの作り方】製造工程はどうなってる?カカオ豆からパウダーになるまでを巡る旅

【ココアの作り方】製造工程はどうなってる?カカオ豆からパウダーになるまでを巡る旅 ココアのいろいろ

ココアがどうやって作られているか、考えたことはありますか?実は、みんな大好きなチョコレートと、同じ「カカオ豆」から生まれる兄弟のような存在なんです。

この記事では、普段何気なく飲んでいるココアが、一粒のカカオ豆から私たちのカップに注がれるまで、どれだけ丁寧で奥深い旅をしてくるのか、その製造工程を一緒にたどっていきたいと思います。この記事を読み終わる頃には、いつものココアがもっと美味しく、愛おしく感じられるはずですよ。

hiro

ココア専門ブロガー。ブログ歴10年。複数のサイトを運営中。突然の体調不良をきっかけに、毎日ココを飲むようになる。以来、その豊かな香りと深い味わいに心を奪われ、ココアの魅力に取りつかれる。ここではココアを専門に扱い、ココアの魅力やそれに関連した記事を紹介します。

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まずはチョコレートと同じ道!カカオ豆が「カカオマス」になるまで

ココア作りの旅は、まず「カカオマス」という、チョコレートの素にもなるペースト状のものを作り出すところから始まります。ここまでは、チョコレートと全く同じ道のりです。

1. 旅の始まりは「発酵・乾燥」から

物語は、ラグビーボールのような形をした「カカオポッド」という果実の収穫からスタート。その中にある、白い果肉に包まれた種こそが「カカオ豆」です。この豆を果肉ごとバナナの葉でくるみ、じっくりと発酵させます。この一手間が、あのココア独特の豊かな香りを生み出すための、とっても大切な魔法なんです。発酵が終われば、太陽の光をたっぷり浴びて乾燥させます。

2. 厳選されたエリートだけが残る「選別」

工場に届いたカカオ豆は、すぐに使われるわけではありません。小石やゴミ、品質の良くない豆などを人の目と機械で丁寧に取り除き、選び抜かれたエリート豆だけが次のステージに進むことができます。

3. 香りを解き放つ「焙煎(ロースト)」

いよいよ、コーヒー豆でもおなじみの焙煎です。カカオ豆をローストする目的は、主に2つ。

  • 香りを最大限に引き出すこと: 熱を加えることで、豆の中に眠っていた香りの成分が一気に花開き、お店で嗅ぐような、あの香ばしいカカオの香りが生まれます。
  • 皮を剥がしやすくすること: 熱で中の実から薄皮(ハスク)が浮き上がり、次の工程でキレイに取り除きやすくなります。

4. なめらかさの秘密は「分離(ウィノーイング)」にあり

ローストしたカカオ豆を砕き、風の力で軽い皮(ハスク)だけを吹き飛ばします。この時に残った、カカオ豆の実の部分が「カカオニブ」。スーパーフードとしても人気ですよね。

このハスク、ピーナッツの薄皮のようなものですが、少しでも残っているとココアのなめらかな舌触りを邪魔してしまいます。だからといって、豆を細かく砕きすぎると、今度は皮を取り除きにくくなる…。この絶妙な加減は、まさに職人技ですね!

5. ドロドロのペースト状へ!「磨砕(まさい)」

キレイになったカカオニブを、石臼のような機械ですり潰していきます。カカオニブの半分以上は「ココアバター」という脂肪分。すり潰すときに出る熱でこの脂肪分が溶け出し、全体がドロドロのチョコレート色のペーストになります。これが、旅の中間地点「カカオマス」です。

ここからが本番!ココア独自の道へ

さて、ここからココアはチョコレートと別の道を歩み始めます。

チョコレートがカカオマスに砂糖やミルク、さらに追いココアバターを「足し算」していくのに対し、ココアは真逆。カカオマスからココアバターを「引き算」していくんです。

1. 風味をまろやかにする魔法「アルカリ処理」

ココア作りでとても特徴的なのが、この工程。カカオマスにアルカリ性の液体を加えて、酸味を中和させます。こうすることで、酸味や渋みがぐっとマイルドになり、色も美しい赤褐色に。水や牛乳にも溶けやすくなるという、まさに一石三鳥の魔法です。

(もちろん、使ったアルカリ剤はカカオの成分と反応してなくなってしまうので、体に害はありませんよ!)

2. 力こそパワー!脂肪分を絞り出す「圧搾(さくゆ)」

いよいよ、この旅のハイライトです!アルカリ処理したカカオマスを巨大なプレス機に入れ、「ぎゅーーーーっ!」と力いっぱい圧力をかけます。「何か薬剤でも使ってるの?」と心配になるかもしれませんが、ご安心を。ここではただひたすら物理的な力だけで、脂肪分である「ココアバター」を絞り出していきます。

3. ついに完成!「粉砕」

脂肪分を絞られた後に残るのは、カチカチに固まった「ココアケーキ」。なんだか美味しそうな名前ですよね。このココアケーキを細かーい粉末状に砕けば、ついに、私たちがおなじみのサラサラな「ココアパウダー」の完成です!

4. 最後の仕上げ「テンパリング」

砕いただけでは終わりません。最後にココアパウダーに冷たい風をあてて、熱を冷まします。こうすることで、パウダーの中にわずかに残っているココアバターの質が安定し、見た目のツヤも一層美しくなるんです。

カカオ豆を粉砕するだけで、ココアができるわけではないのです!焙煎し、皮を取り除き、さらには搾って油分を取り除き、そうしてようやくココアパウダーが出来上がるのです。こうしたたくさんの工程を通して、ようやく一杯のココアを飲むことができると思うと、しっかり心から味わいたいものですね。

【豆知識】スーパーで見る「純ココア」って、いったい何?

ところで、お店で「純ココア」や「ピュアココア」という商品を見かけませんか?

これは、ココアパウダーの中でも、ココアバターが22%以上含まれ、砂糖やミルク、香料などを一切加えていない、カカオ100%のパウダーのこと。お菓子作りや、自分で甘さを調整したい本格派のココアにおすすめです。

ピュアココアを試してみたいなら、バンホーテンのピュアココアをオススメしています。1828年、世界で初めてココアの製造法を発明したバンホーテン。彼らのココアは、まさにカカオ豆の素晴らしい旅を凝縮した一杯。その深い歴史と、丁寧な製法が生み出す芳醇な香りとまろやかな味わいを、ぜひご自身の舌で確かめてみてください。

「バンホーテン」ピュアココアの魅力はコチラから

純ココアと調整ココアの違い

製造が終ったばかりのココアパウダーは「純ココア」あるいは「ピュアココア」といわれます。ここには砂糖などの甘味料やミルクが全くふくまれておらず、いわば100パーセントカカオでできたココアといえます。

そのまま飲むとまったく甘くないので、砂糖を入れて飲んだり、料理に使ったりします。

対して調整ココアは砂糖やミルクが初めから入っているもので、お湯で溶かすだけでおいしいココアとして飲むことができます。しかし、お菓子作りなど料理に使うには、ココア以外にもいろいろなものが入っているので、分量には注意が必要です。

純ココアと調整ココアの違いについては、コチラでも紹介しています。

純ココアと調整ココアの違いはコチラから

まとめ:一杯のココアに込められた、長くて深い物語

何気なく飲んでいた一杯のココア。その裏側には、カカオ豆の選別から始まり、焙煎、分離、圧搾と、気の遠くなるような丁寧な工程が隠されていました。

次にココアを飲むときは、ぜひこの壮大なカカオの旅を思い浮かべてみてください。きっと、いつもより深く、温かい味わいを感じられるはずですよ。

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